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7G コンシューマデバイス(2)

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7G コンシューマデバイス(2)

7G-1: 透明なカット検知センサー:撮影による情報の持ち出しをより困難にするセキュリティデバイスの提案

透明なカット検知センサー:撮影による情報の持ち出しをより困難にするセキュリティデバイスの提案

デジタルカメラなどを使ってディスプレイに表示されている情報を撮影して持ち出すという情報漏洩方法に対抗するために,著者らはディスプレイに赤外線を発光する透明なシートを貼りつけるという方法を提案している.しかし,撮影を強行するために「引きはがし」や「カット」によって当該シートを取り外し,ディスプレイの表面をあらわにする攻撃が考えられる.著者らはすでに引きはがしを検知できる方法を考案しているため,本稿ではカットを検知できるセンシングデバイスについて報告する.カットの検知は,目視では視認しにくい一筆書きの微細な導電線を赤外線発光シートの表面に印刷しておき,カットによって導電線の抵抗値が大きくなることをリアルタイムに観察することで実現できる.著者らは,導電線がもたらす2つの影響(可視光透過率が低下すること,ディスプレイの表面にモアレが発生すること)を抑制するために,透明導電性フィルムの製造技術とオフセット印刷のノウハウを活用してセンシングデバイスを設計した.また,試作したセンサーは耐屈曲性があり,縦,横,斜めのカットを検知できるとともに,8mm以上カットされたときにアラートを出力できる.

7G-2: 透明な漏液検知センサー:古典的だが新しいセンシングデバイスの提案

透明な漏液検知センサー:古典的だが新しいセンシングデバイスの提案

工場や事業所では,製品の生産や顧客へのサービス提供のために何らかの液体を取り扱っており,液体をタンクに貯蔵するとともに液体の漏出を検知できるデバイスを設置している.既存のデバイスは透明ではないため,今回著者らは,潜在的なニーズがあると考えられる「透明な漏液検知デバイス」を開発した.漏液の検知原理は既存のデバイスと同じであるが,透明な基材(PETシート)の表面に形成する導電線の幅を細くすることで可視光透過率を高め,導電線をメッシュ化することで製品生産数比率の向上を図った.有効性と有用性を検証するために,著者らはデバイスを100枚試作するとともに,比較的容易に入手できる数種類の液体を用いて当該デバイスの性能評価を行った.その結果,デバイスがもつ可視光透過率は84.9%と高く,不良品(導通が確認できなかったもの)が発生することはなかった.また,電気伝導率が低い液体を除いた液体(水道水,蒸留水,弱酸・弱アルカリ液体,強酸・強アルカリ液体)を検知できることがわかった.導電線の形成には印刷技術を用いているため大量生産に適しており,市場への提供価格を低く設定することが可能である.

7G-3: マイクロ波センサによる睡眠状態可視化技術

マイクロ波センサによる睡眠状態可視化技術

睡眠時の状態を計測するときに用いる機器として,電極を用いて被験者に装着するものや,布団に敷いて圧力変化から体の動きを測るもの,枕元に置き寝具の揺れから間接的に体動を測るなど様々なセンシング方式がある. 我々は,被験者の利便性を考慮して,ドップラ式のマイクロ波センサを用い,離れた位置から被験者の睡眠状態を計測することを可能とする研究を行っている.開発技術では,マイクロ波を被験者に照射し,被験者の動きから得られるセンサ信号を解析し,体動,心拍,呼吸の各成分を抽出する.検出した体動より,就寝中の覚醒または睡眠を判定し,心拍,呼吸成分からそれぞれ心拍数,呼吸数を算出する.また,センサで検出する呼吸成分の信号強度の変化より,寝ているときの体の向き(仰向け,うつ伏せ,横向き)を判定する.

7G-4: 小型デバイス用JavaScriptエンジンの効率化

小型デバイス用JavaScriptエンジンの効率化

さまざまなモノがセンサーを備えるとともにインターネットに接続して情報交換するInternet of Things,特にそのサービスの実現にWeb 技術を使うWeb of Things が注目されている.モノに搭載するデバイスは,これまでWeb 技術の中心だったPC やスマートフォンなどの高スペックデバイスに比べて,コストや消費電力の観点から低スペックでの動作が要求される.そこで,Web 技術であるJavaScript を動作させるマイコンの開発などが進められている. 本稿では,低スペックである小型デバイス上でセンサーや通信などのイベントに対応してサービスを提供するイベントドリブンモデルを想定した上で,そのモデルに適した高速化手法を提案する.本提案手法は,イベントに応じて繰り返して実行されるJavaScript で記述された関数の呼び出しを効率化するために,その関数の1 度目のパーズ・実行時にパーズ結果から得られる中間コードを記憶しておき,2 度目以降の実行時に,それを利用してパーズ処理を省略することを可能とする.また,本提案手法を実装して,関数の実行時間を測定・評価し,最大3.6 倍に高速化されることを確認した.

7G-5: 楽団向け電子譜面システムのための演奏者モデルと代表端末選定アルゴリズムの提案と試作

楽団向け電子譜面システムのための演奏者モデルと代表端末選定アルゴリズムの提案と試作

近年,iPadなどのタブレット型端末の普及に伴い,電子譜面が注目・開発されてきている.電子譜面は,紙の譜面と比較して劣化・黄ばみ・破損が少ない上に,保管・管理が容易であるという点でメリットがある.また,電子譜面システムを演奏会(特に吹奏楽団など)で利用すると,紙の譜面を利用する際に演奏者にかかる負荷の軽減が期待できる.しかし,現状の電子譜面システムは個人使用を想定して開発されているため,楽団で使用した際にいくつかの問題が生じる. また,アプリケーション内の機能が端末内のみで完結するため,タブレット型端末の特性を活かしきれていないと考えた.そこで,本研究ではタブレット型端末の特性を活かした楽団向け電子譜面システムの提案を行う.本稿では,吹奏楽団における譜めくり作業の負荷軽減に着目をし,楽団全体での譜めくり回数を削減する方法を提案する.システムの具体的な内容は,演奏者や譜面から譜めくりに関するパラメータを抽出,それに基づき譜めくりタイミングが同じ演奏者をグループ化,グループ内で負荷が最も低い演奏者を代表者とし,グループの代表者以外の端末を代表者の端末に同期させて譜めくりを行うというものである.
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