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5E 位置情報システム(1)

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5E 位置情報システム(1)

5E-1: 携帯端末向けセンサ統合型ジオフェンシングのシステム最適化に関する性能評価

携帯端末向けセンサ統合型ジオフェンシングのシステム最適化に関する性能評価

本稿では,ジオフェンシングにおける入圏検出技術の検出精度および省電力性能を向上するため,ユースケースに応 じた最適なシステム構成を明らかにすることを目的とする.従来,スマートフォンに搭載された加速度センサや複数 の測位技術を動的に有効化することで消費電力を削減する技術が提案されている.本稿では,入圏検出に適用可能な 要素技術として,移動検出機能,間隔可変測位機能,測位手段切替機能を組み合わせたシステムを検討する.これら の機能は互いに相補的であり,異なる状況で効果を発揮するが,検出精度や消費電力の性能への貢献度は評価されて いない.そこで,本稿では,各機能を連携させるセンサ統合型の入圏検出システムを示し.ジオフェンシングサービ スにおける典型的なシナリオについてシミュレーションを行った.評価結果より,検出精度を重視する低密度シナリ オでは,移動検出機能と間隔可変測位機能を有効化した場合が最適な構成であり,検出精度をF 値で0.95 に維持しつ つ,全機能を無効化した場合と比較して消費電力を93%削減できることを示す.また,消費電力を重視する高密度シ ナリオでは,全機能を有効化する構成が最適であり,全機能を無効化した場合と比較して検出精度の劣化をF 値で0.03 に抑えつつ,消費電力を89%削減できることを示す.

5E-2: RWFS: 位置情報による空間アクセス制御を行うファイルシステムの設計と実装

RWFS: 位置情報による空間アクセス制御を行うファイルシステムの設計と実装

本論文では,実世界の空間にディレクトリが存在するかのように扱い,そのディレクトリに情報を置いて管理することや,同じ場所にいる者同士の情報共有を可能とするファイルシステム,RWFS (Real-World File System) の設計と実装を提案する.本システムでは,管理する情報資源のアクセス権に位置情報が設定し,ユーザは自分が現在いる場所に応じたディレクトリへのアクセス権を獲得することができる. 本システムで扱う,場所毎に紐づけられたディレクトリは,実世界の空間が有する階層構造をディレクトリ構造にマッピングしたディレクトリである.各ディレクトリ間の関係は,実世界の場所が有する包含関係となる.また,実世界の場所が有する構造は単純なツリー構造ではなく,子ノードが複数の親ノードに属することが許されるような,特有の半順序構造を有していると仮定する.従って,ある場所が複数の場所に含まれているような場合でも,場所と関連付けたディレクトリを作成することができる. 本論文では,実現形態の一つとして屋内環境における RWFS を実装した結果を述べる.実際の操作時間の測定による評価,および,本システム特有のディレクトリ構造をシミュレーションによって評価した.

5E-3: 時間依存道路ネットワークにおける各道路の最短移動時間に関するインデックスを用いたk最近傍検索手法

時間依存道路ネットワークにおける各道路の最短移動時間に関するインデックスを用いたk最近傍検索手法

近年,各道路の移動時間が時刻により変化する時間依存道路ネットワークへの関心が高まっている. 時間依存道路ネットワークにおけるk 最近傍検索では,検索を行う時刻により,k 最近傍検索の検索結果 が変化するため,従来の固定道路ネットワークにおけるk 最近傍検索手法を直接適用することはできない. そこで本稿では,時間依存道路ネットワークにおいて,参照節点数および検索時間の削減を目的とする, 各道路の最短移動時間に関するインデックスを用いたk 最近傍検索手法を提案する.提案手法では,前処 理として,各節点から各データポイントまでの最短移動時間を表す,ヒューリスティック関数に基づくイ ンデックスを作成する.検索時には,参照する節点におけるインデックスを参照し,これまでに検索され ていないデータポイントのうち最も近いデータポイントまでの値を予想移動時間として用いることで,A* アルゴリズムを実行し,k 個のデータポイントを発見した時点で検索を終了する.シミュレーション実験 より,提案手法が既存手法と比べ,参照する節点を削減し,検索時間を短縮できることを確認した.

5E-4: ユーザの訪問場所の傾向を考慮したダミーによるユーザ位置曖昧化手法

ユーザの訪問場所の傾向を考慮したダミーによるユーザ位置曖昧化手法

近年注目を集めている位置情報サービスでは,サービス利用時にユーザの位置情報をサービスプロバイダへ送信する必要があり,位置情報が第三者に流出することで,ユーザの個人情報が漏洩する可能性がある.このようなユーザの位置情報に関するプライバシを保護するために,筆者らの研究グループでは,先行研究において,実環境における制約条件を考慮し,いくつかの場所を訪れながら移動するダミーの位置情報を生成することで,ユーザの位置を曖昧化する手法を提案した.しかし,先行研究では飲食店や映画館といった訪問場所の意味的情報が考慮されていないため,ダミーの訪問場所の傾向から容易にダミーであると判断されてしまう可能性がある.そこで本稿では,ユーザの訪問場所の履歴から抽出した訪問場所の傾向に従いダミーを移動させることで,よりユーザらしい動きを実現するダミーを生成する手法を提案する.訪問場所が密集した環境を想定した地図上でユーザの動きをシミュレートし,先行研究の手法と比較した結果,提案手法の方がユーザの位置プライバシ保護により有効であることを確認した.

5E-5: レーザレンジスキャナーに特化したデータ圧縮手法

レーザレンジスキャナーに特化したデータ圧縮手法

近年,人々の位置情報をセンサで推測・取得してシステムやサービスに活用する技術が注目されている.レーザレンジスキャナー(LRS) による人の計測は極めて高精度である半面,出力される計測ログのサイズが大きい.本稿では,LRS データに特化したデータ圧縮手法を提案し,(1)データ構造をより緊密にさせる,(2)意味のないデータの除外,という二つのアイディアを用いて,著しくデータサイズを軽減させる.LRS 計測結果ファイルを用いた圧縮実験において,可逆圧縮方式では元データの1/4 まで圧縮でき,不可逆方式では最大元データの3%まで圧縮できたことを確認した.また,HDD/SSD など異なる環境において,既存汎用圧縮手法と圧縮率,圧縮・解凍時間を比較し,両方において提案手法の優位性を実証した.
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