5A-1: 「情報銀行」構想とその技術的課題
「情報銀行」構想とその技術的課題
位置情報を含むさまざまな情報を収集し活用することで有益な情報を生み出すことは可能であるが、そこに含まれるパーソナル情報をどのように扱うべきかについてはさまざまな議論がある。「情報銀行」の取組は、パーソナル情報を取り扱うHUBとなる組織を介し、安全にそして安心してパーソナル情報を預けられるようにし、それらを活用する試みである。本論文では、「情報銀行」の構想について紹介すると共に、それが目指す仕組み、特に技術的課題について述べる。また、「情報銀行」を実現するため我々はインフォメーションバンクコンソーシアムを設置した。ここでは、技術、社会受容性、利活用について検討を行い、「情報銀行」を実現するための研究・開発・実証実験を行う予定である。実現のためには、技術的課題だけを解決すればよいのではなく、そのメリットを正しく認識し、こうした仕組みが社会に受け入れられるために必要な事柄を整理する必然性がある。この組織は、こうした課題に取り組み、その成果を公開していくことを目標としている。ここでは、インフォメーションバンクコンソーシアムの活動についても概説する。
- 発表者: 砂原 秀樹 (慶大)
- 山内 正人 (慶大)
- 金杉 洋 (東大)
- 柴崎 亮介 (東大)
5A-2: 圧力センサを用いた把持ジェスチャによる携帯端末の個人認証手法
圧力センサを用いた把持ジェスチャによる携帯端末の個人認証手法
スマートフォンやタブレットなどの携帯端末には電話番号やメールアドレスなどの個人情報が保存されており,その携帯性から紛失や盗難する機会も多いため,特定の個人のみに端末の利用を制限する個人認証が必要となる.広く普及している個人認証手法として,パスワードやなぞるパターン,顔認証,指紋認証などが挙げられるが,片手での画面操作が煩雑であったり,ショルダーハッキングに脆弱,顔写真や指紋を入手すれば容易に認証可能であるという問題がある.そこで,煩雑な操作を必要とせず,安全性の高い個人認証手法として,圧力センサを用いた把持ジェスチャによる個人認証手法を提案する.把持ジェスチャは行動的特徴の一種であり,携帯端末を操作する際の端末を握る動作のことである.把持ジェスチャは携帯端末の操作中に自然に行えるジェスチャであり,セキュリティロックの解除に煩雑な操作を必要としない.また,把持ジェスチャは指の力の入れ具合で区別されるため,盗み見ることは困難であり,第三者による把持ジェスチャの再現性は低く,セキュリティロックの安全性も高いと考える.本研究では,携帯端末の側面に搭載した圧力センサアレイを用いて,ユーザの把持ジェスチャの把持力の分布を測定して個人認証を行うシステムを構築した.提案システムの評価実験の結果,本人が自由に設定したジェスチャで認証を行う場合でEERが最低0.02となり,提案システムが有効であることが確かめられた.
- 飛世 速光 (神戸大)
- 村尾 和哉 (立命大)
- 発表者: 寺田 努 (神戸大/JSTさきがけ)
- 磯 俊樹 (NTTドコモ)
- 塚本 昌彦 (神戸大)
- 堀越 力 (NTTドコモ)
5A-3: 格子マスキング利用のKey Binding技術におけるテンプレート更新機能
格子マスキング利用のKey Binding技術におけるテンプレート更新機能
生体認証において,テンプレートと呼ばれる登録生体データを何らかの変換により保護しつつ,照合処理を行うテンプレート保護型生体認証技術が近年盛んに研究されている. 特に,テンプレート保護型生体認証技術の一つであるkey bindingは,生体データとユーザ固有の鍵の結合データから補助情報を生成し,登録時と照合時の生体データが十分に近い場合のみユーザ固有の鍵が抽出できる特殊な技術である. Key bindingで利用するユーザ固有の鍵として,電子署名や文書などの情報を扱うことで,電子署名や文書暗号化/復号などに応用でき,認証判定だけでなく様々な利用形態の実現が期待されている技術でもある. 我々は2013年7月の情報セキュリティ研究会(ISEC)にて,key bindingの新しい実現方式を提案した. この実現方式は,通常の乱数付加アプローチに加え,生体認証特有のデータの揺らぎ吸収のため,格子と呼ばれる数学的概念を利用した格子マスキングを新しく導入したものである. 本論文では,格子マスキングによるkey binding技術において,テンプレートの更新処理を行う方法を提案する.
- 発表者: 杉村 由花 (富士通研)
- 安田 雅哉 (富士通研)
- 山田 茂史 (富士通研)
- 安部 登樹 (富士通研)
- 新崎 卓 (富士通研)
5A-4: PIN入力タッチスクリーンバイオメトリクスにおける識別手法の影響
PIN入力タッチスクリーンバイオメトリクスにおける識別手法の影響
本研究ではスマートフォンを用いたPIN 入力タッチスクリーンバイオメトリクスについて検討を行 なった. 従来のキーストローク認証では得られなかったセンサやタッチスクリーンからの情報を利用した新たな特徴量を導入することにより認証精度の向上を図った. 識別手法には統計的手法である Euclidean Distance(ED)法,Manhattan Distance(MD)法,機械学習手法である Support Vector Machine(SVM),Back Propagation Neural Networks(BPNN),Learning Vector Quantization(LVQ)を用いる. 21 名の被験者 を対象にPIN 入力データを収集,解析を行い,特徴量の組み合わせによる認証率及びそののプロファイル数依存性について実験を行った.その結果,統計的手法ではPIN4桁においてEER∼ 6.7 %,PIN10桁においてEER∼ 3.3 %,機械学習手法ではEER∼ 6.8–7.0 %,PIN10桁においてEER ∼ 2.2–3.5 %という結果を得た.
- 発表者: 泉 将之 (明石高専)
- 西村 友佑 (阪大)
- 柏木 まもる (NTTスマートコネクト)
- 佐村 敏治 (明石高専)
- 西村 治彦 (兵庫県立大)