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4C モバイルコンピューティング

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4C モバイルコンピューティング

4C-1: 仮名化データの安全性検証アルゴリズムの考察

仮名化データの安全性検証アルゴリズムの考察

近年、インターネット上では様々な位置情報サービスが提供されており、多数のユーザーの間で位置情報の共有が実現されている.しかし位置情報はユーザーのプライバシーに関する行動に深く関連するため,位置情報の公開は適切に制限される必要がある.そこで我々はこれまでユーザーの識別子を仮名に置き換える仮名化方式を検討し,「ミックスゾーン」と呼ばれる複数ユーザーが出会う場所でランダムに仮名を交換する方式を考案し,各ユーザーが取り得る代替経路の不確定性に基づきプライバシーの概念を定式化した.本論文では、このミックスゾーンを用いたプライバシー保護技術において効率的に安全性を検証するアルゴリズムについて考察する.

4C-2: スマートフォンの消費電流量推定手法の提案と評価

スマートフォンの消費電流量推定手法の提案と評価

近年, スマートフォンの普及が著しく進んでいるが, その電池持ちは, スマートフォンユーザの大きな関心事である. ユーザやアプリケーション開発者がアプリケーション実行時に実際どれだけの電池が消費されたかを知ることは, 両者が電池持ちの課題を認識する上で, 非常に重要なことであるが, 電池テスタなどの専用の測定器を利用して実際に測定することは容易ではなく, また何が原因で電池を消費したのかを知ることは難しい.そこで本稿では,専用の機材を用いずに,ソフトウェアベースで,電池消費量を推定する手法を提案, 評価した.従来手法に対し,電池消費量の計算時に液晶の表示色を考慮していることを特徴とする. 実験で使用した YouTubeの動画の場合, 液晶の表示色を考慮しない従来手法では, 最大40%の誤差率が確認されたのに対し, 提案手法では, 最大16.1%以下に抑えられ, 特に白・黒のみの動画の場合, 誤差率を8%以下に抑えられることを確認し, 提案手法の有効性を示した. また, 推定手法はAndroidだけでなく, 近年注目され始めているモバイルOSであるFirefox OSにも適用できることを確認した.

4C-3: スマートフォンアプリケーションにおいてエンド間通信を実現可能なプラットフォーム開発

スマートフォンアプリケーションにおいてエンド間通信を実現可能なプラットフォーム開発

スマートフォンはユーザ自身が容易に様々なアプリケーションをインストール可能なことから, 近年急激に普及しているモバイルデバイスである. 現在のインターネットでは, NATルータなどがネットワーク内に設置されることも多く, 直接通信を行うことは困難な場合も多い. そのため, 多くのスマートフォンアプリケーションはクライアント・サーバーモデルに基づいて設計されている. 一方で, 近年のスマートフォンアプリケーションでは, 音声, ビデオ通話, 対戦ゲームなど, リアルタイム性を要求するアプリケーションも開発されつつある. このようなアプリケーションでは, サーバーを経由しない, 端末間で直接通信が実現可能な方式が遅延低減の観点で適している. また,ネットワーク資源の最適利用の観点からも, 端末間の最短経路を用いて通信を実現できるため直接通信は適している. 端末間で直接通信を行うことが可能な既存技術として, 移動透過技術が既に提案されているが, これらの技術はOS内に実装することを想定して設計されており, 特定のアプリケーションにおいて, 移動透過技術を採用することは容易ではない. 著者らは, 新たな移動透過技術としてNetwork Traversal with Mobility (NTMobile)の開発を進めてきた. NTMobileでは, IPv4/IPv6ネットワークにおける移動透過性と通信接続性を担保可能である上, 実装コードはOSの機能とは分離して設計されている. そのため, NTMobileは各アプリケーションが独自に移動透過技術を採用することが比較的容易である. 本稿では, スマートフォンアプリケーション内においてNTMobileを利用するための, サーバーシステムを含めたプラットフォームの提案を行う. 提案プラットフォームでは, スマートフォンアプリケーションのアカウント管理, リアルタイム通信, 認証および鍵交換, オフライン時の非リアルタム通信によるデータ交換手段を提供可能である. 実証実験では, 提案プラットフォームがiOSおよびAndroid OS上で動作することを確認する.

4C-4: モバイル通信環境における仮想デスクトップ操作応答性能向上技術の検討と評価

モバイル通信環境における仮想デスクトップ操作応答性能向上技術の検討と評価

ユーザが遠隔にある仮想デスクトップ環境を操作する場合,一般的には仮想デスクトップ環境を画面転送方式で転送してユーザの端末に表示する.操作内容や頻度,仮想デスクトップ環境で利用するアプリケーションによっては,大量の画面データを転送する必要があり,ネットワーク帯域幅が狭く,場所や時間によって品質が大きく変動するモバイル通信環境から快適に利用するのは困難であった.本論文では,仮想デスクトップ環境の中でユーザが操作している領域を推定し,推定した領域に含まれる画面データを一定時間内に送信できるサイズに分割送信することで,操作応答性能を向上する方式を提案する.本方式により,モバイル通信環境も含め,帯域幅の狭いネットワーク環境における操作応答性能の向上を実現する.

4C-5: リアルタイム情報共有を実現するモバイルCO2濃度センシングプラットフォーム

リアルタイム情報共有を実現するモバイルCO2濃度センシングプラットフォーム

CO2濃度が上昇すると,人体に不快感,悪影響をもたらすといわれている.そのため,施設の管理者などは環境衛生上良好な状態を維持するためにCO2濃度などを判定する必要があるとして,建築物環境衛生管理基準が定められている.そのような場合,CO2センサを搭載した固定型の設置したシステムを構築するのが一般的である. しかし,固定型センサノードを設置する手法は設置工事のコストや盗難のおそれがある.ユーザ参加型センシングを用いることで,このリスクを解決することができる.ユーザ参加型センシングにおいて広範囲で効率的に調査を行うためには,センシングをいつ行ったか,どこまでの範囲がすでにセンシング済みかなどの情報を,調査員同士が共有・連携して動くことが必要となる.そのためには,調査員向けのモバイルアプリケーション・システムが必要となる.我々はモバイル端末とCO2センサを用いて構築したモバイルCO2センシングのためのプラットフォームとして,Android端末とCO2計測センサを接続しセンシングを行うシリアル通信アプリケーションを開発した.また,サーバ上にデータ共有システムを構築し調査員や調査管理者にリアルタイムの計測情報を整理した形で提供し,モバイル計測ツールとして必要な項目を実装することにより調査員に与えるストレスを軽減・改善することができた.本稿では,著者らが開発したプラットフォームにより調査員に対して与えるストレスをできるだけ少なくし,自動化したシステムを提供できるようになったことを報告する.
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