Back

2E 行動認識

Option

2E 行動認識

2E-1: 移動支援システムのための移動特性抽出の自動化

移動支援システムのための移動特性抽出の自動化

近年,スマートフォンの高機能化に伴い,様々なセンサが搭載されるようになってきた. 搭載されているセンサを利用することで,端末の位置情報,加速度センサ情報,周辺のWifi基地局情報などといったライフログが収集できる. このように収集したライフログを利用することで,ユーザの状況の推定し,ユーザ個人に特化したサービスの提供が行われている. ユーザに個人特化した移動支援に関しても盛んに研究されているが,これらの研究は移動手段の誤認識があったり,対応していない移動手段があったりと問題がある. そこで本研究では,移動支援システムのために移動特性を抽出する. この移動特性を抽出し,同一の移動手段で結ばれた2地点間ごとにまとめる. 加えて,日常的に持ち歩く携帯端末から得られるデータのみを利用することで,ユーザに負担をかけない移動特性抽出の自動化を実現した.

2E-2: ラベルの時刻ずれに対応した携帯センサ行動認識手法

ラベルの時刻ずれに対応した携帯センサ行動認識手法

スマートフォン等の携帯センサデバイスを用いた行動認識を行う際には,主に教師あり学習を用いるため,センサ情報と行動の種類を示す行動ラベルが対応付けられた事例データが必要である.しかし,この対応付けは,センサ情報とともに取得された音声や動画を基にアノテーションツールなどを用いて手作業で付けられることが多いため,時刻のずれが生じる可能性がある.本研究では,この時刻ずれに関わらず行動認識において精度よく機械学習をするための手法を提案する.提案手法では,元の行動ラベルを前後にずらしたラベルを複製し,複数のラベルが与えられたマルチラベルの問題として学習を行う.加えて,EMアルゴリズムによって教師データにおける学習を繰り返し行うという手法を提案する.この手法を評価するために,単純ベイズフィルタ分類器を用いて,3種類の行動を判別する行動認識を行った.評価では擬似的に作成された行動のシーケンスデータにおいて行動ラベルをずらしてゆき,提案手法によって精度の改善が成されるのかを検証した.その結果,行動ラベルの時刻がずれている場合であっても,今回の評価で作成された擬似的なシーケンスデータにおいてならば,提案手法を用いて行動認識の精度を最大47.8%向上させることが出来ることを確認できた.

2E-3: 小型のウェアラブルセンサを用いた姿勢計測

小型のウェアラブルセンサを用いた姿勢計測

本研究では,健康管理や作業管理のための姿勢モニタリングを目的として開発した,小型軽量で長時間連続稼働可能なウェアラブルセンサを用いて,オフィスでのデスクワーク中の上半身の姿勢を可視化し分類する手法を報告する. 上半身の姿勢は,複数センサの3軸加速度信号を用い,背中表面に沿った2次曲線として表現した.可視化結果を静止画と比較して目視確認した所,デスクワーク中の姿勢を正しく表現出来ており,本手法の有効性を確認できた.また,単一センサの3軸加速度信号を用い,ユーザの姿勢を予め定めた代表的な姿勢へ分類することで,オフィス業務中の大まかな姿勢変化を検出し,業務時間中の大まかな姿勢変化や代表的な姿勢での滞在時間を可視化することが出来た. 開発した小型のウェアラブルセンサをリアルタイムの姿勢計測に応用することで,腰に負担がかからない姿勢の指導などが可能であると考えている.

2E-4: 事前知識を用いた携帯センサの保持位置追跡手法

事前知識を用いた携帯センサの保持位置追跡手法

本研究では,スマートフォンなどの携帯デバイスに埋め込まれた加速度センサや角速度センサといったセンサデータから,そのデバイスが人に保持された状態での位置や向きと言った状態を推定することを目標とする.本研究では,経験ベイズ手法により,推定したい変数の事前分布の情報を構築しておいて用いることで,推定精度向上を目指す.提案手法ではモーションキャプチャを用いてこのような変位およびそれを近似微分した速度の情報を事前分布として保持しておき,経験ベイズを加速度から速度の推定と速度から変位の推定に二段階に用いる.基礎評価として,モーションキャプチャと加速度センサを用いて姿勢情報と加速度データを収集するシステムを開発し,それを用いて得たデータによる実験を行った.実験では,従来手法に比べ,提案手法は安定して追随できるという結果を得た.

2E-5: ピーク値を用いた状況認識手法の実環境での再評価

ピーク値を用いた状況認識手法の実環境での再評価

加速度センサやジャイロセンサなどを用いてユーザの行動や状況を認識し,認識結果に応じて適応的に動作するシステムが提案されている.それに伴い,高精度な認識手法やデータ圧縮手法に関する研究が数多く発表されているが,それらの研究で用いられている評価用データの多くが実験室環境で採取されたものである.実験室環境で採取されたデータはセンサの装着方法や行われる動作が実験主催者によって統一され,実験中は実験主催者の監視下にあるため,ノイズが少なく,一般的に高い性能として評価結果が得られる.筆者らはこれまでに,加速度センサを用いた行動認識におけるデータ処理手法を提案しており,評価実験で用いるデータは自由な環境で採取したものであると認識しているが,想定外の環境でデータが採取されることも考慮しなければならない.本稿ではHASC(人間行動センシングコンソーシアム)が構築した行動認識データセットHASCcorpusに収録されている実環境で採取されたデータを用いて,筆者らの提案手法を再評価し,筆者らがすでに行った実験の結果と比較する.
Close